土蔵の改修工事 施工例  (2017年施工)

 

築後40年~45年も経過した土蔵の外壁ですが、中塗りの砂壁のままで仕上まで施工されていなかった土蔵です。中塗り土も風雨に晒されかなり弱くなっています。現在は土壁屋さんもなく中塗り土も手に入らない状態です。以下下地の強化、中塗り(下地調整)、漆喰下塗、漆喰上塗仕上までをご紹介します。

劣化した中塗り土の状態 北側

西側

南側


中塗りの砂壁の清掃後、「ガッチリ浸透プライマー」をテカリが出るくらいたっぷり塗布する。

下地調整材として軽量モルタル「ラスカル」にアクリルカチオン樹脂を混入し前面に塗布する。下地からのクラックが入っている場合は、全面にビニロン三軸ネット又はグラスファイバーネットを伏せこむ。

しっくい下塗用石灰プラスター「NPーα」を1㎜厚で塗る。通常は砂漆喰を下塗に使用するが、今回は下地及び上塗漆喰との密着性を考え「NPーα」にしました。


窓周りの蛇腹施工

脆弱部を撤去し、清掃後「ガッチリ浸透プライマー」をたっぷり塗布し、下地を強化します。

ラスカルにカチオン樹脂を混入し、下地調整を行います。


角面にグラスファイバーネットを伏せこみ補強します。

ラスカル+カチオン樹脂で成型後、ゼロヨン#20にアクリル樹脂を混入し、下地を作りました。

全体を「はいしっくい」で仕上げ、家紋を入れて完成です。


完成(北面)

完成(西面)

完成(南面)


追記:欲を言えば、完成後しっくい全面に浸透性の表面強化剤(ウォーターセラミックなど)を含侵させてやれば、万全である。漆喰の石灰質成分と反応し非水溶性無機化合物となり、水隙や空隙を充填し水の浸透を妨げ、防水・表面強化・保護の役割をし、耐久性を高めます。また、表面が強アルカリ性ですのでカビの発生を押さえます。