ガビオン施工を見学しました

皆さんはガビオンをご存じですか?蛇籠(じゃかご)とも呼ばれ、竹や鉄線で編んだ長い籠に砕石を詰めたもので、河川の護岸や斜面の補強などに使用されてきたものですが、昨今はその装飾性や重厚感からエクステリアのプロダクツとして脚光を浴びるようになってきています。

先日、社屋を新築された私のお客様が自社にガビオンウォールを施工するというので、見学がてらお手伝いに行ってきました。

●ガビオンの材料

ワイヤメッシュ(基本パネル)

材質 / 亜鉛+アルミ合金メッキ
形状 / 1 マス75 ㎜の格子状パネル

コーナー金具

3マス毎に取り付け想定で 80個

 

今回の仕上がりサイズ

巾1950×高さ1500×奥行300mm

ガビオンに詰める石

黒割石(小) 50mm~150mm 600kg

黒割石(大) 150mm~250mm 1000kg

 

想定容積:0.88㎥ これで若干余りました


上記に加え、基礎用のL型アングル、セメント・砂および砕石(敷砂利)

施工手順

1.基礎を固め支柱を立てる

基礎ブロックを用いて、支柱を埋める方式もありますが、今回は大型ガビオンなので、掘り下げて型枠を組み、L型アングルの支柱を打ち、全面コンクリート仕上げとしました。

 

注意点:基本パネルのマス目にL型アングルが通るように位置合わせは欠かさずに

早強セメントを使用しましたが、養生期間で丸1日は欲しいですね

 


2.ワイヤメッシュ(基本パネル)を組み立てる

コーナー金具を取り付けます。重量物に負けないよう3マス毎に取り付けました。

 

談:細かい作業です。寒い現場では手がかじかんでナットとボルトをポロポロと落してしまい、思うように進みません(笑)


3.引っ張りを準備

パネルの膨らみを抑えるために、向かい合うパネルを固定する「引っ張り」を作成。こちらも3マスを目安に必要本数を作成

 

注意点:錆びない材質が良く、クローム合金の3.2mmの針金(15m巻)を使用し作成しました。

※メーカーによっては既製品もあります。


4.砕石を敷き、組み上げたパネルを支柱に通します

当然ながら、最初はグラグラと不安定です。

 

注意点:防錆加工しているパネルでも、水に直接触れる状況では腐食が進みますので、下地は水はけが良い状況にするために砕石を敷きましょう。


5.石を詰める

割石の大きいものをパネル面に合わせ、内側から小さい割石で固定するように積んでいきます。

 

注意点:下の段の詰め込みは上から石を落としていくので、作業者の手に落としたりしないよう、声をかけあいながらの作業となりました。


6.補強・整形する

マス目で3段程度石を積んだら、「引っ張り」をかけ補強し、パネルの膨らみ、歪みが無いように整形していきます。

支柱であるアングルに対しても「引っ張り」で適宜固定します。

石の重みと引っ張りの補強で、ガビオン全体の安定感がみるみると増していきました。

 

注意点:石どおしにすき間があると歪みの元となりますので、すき間なく石を積んでいきます。


補足.美しい仕上がりのためには

せっかく割石を利用しているのですから、石の面を出すように、詰めていきます。あわせて石の顔をみながら置き、スペースにあわせて石を割りながら積むことができればまさに職人技といえるでしょう。


そして完成

大きい石をならべ、小さい石で支え、積み整える。その繰り返しでパネル内が石で満たされ、上パネルを取り付けていよいよ完成です。社屋に重厚感のあるアクセントが加わりました。

さらにパネルを取り付けたり、植栽を植え込んだり、ライティングを施したりと様々なアレンジができるのもガビオンの魅力です。これからより味わい深いオブジェとなっていくことでしょう。

 

最後に貴重な体験をさせていただきました株式会社タカハシ様にお礼申し上げます。